小学校5年生のときの「事件」の思い出です。
放課後、クラスメイト10人くらいで、近所の空き地で缶けりをして遊んでしました。全員男子、つまりクラスの男子の半数が参加していたわけです。私もその一人でした。

当時は雑草のしげる空き地があちこちにあったもので、そこは中でも一番広く、まわりにも隠れやすいところが多くあったので、いつもそこで遊んでいました。
それこそ「暗くなるまで」時を忘れて遊んだものです。

ある日いつものようにその空き地で遊んでいた時に、事件は起きました。
缶けりは、隠れている子を鬼が見つけると、鬼の陣地へ連れて行かれ、そこで「拘束」される。鬼の目を盗んで、つかまっていない誰かが缶を蹴ると、つかまっていた子たちが自由になる、という遊びです。

誰かが缶を蹴って、みんないっせいに逃げるというのが一番興奮する瞬間。そのとき、逃げて行った一人の子が、空き地からつながっている民家の敷地へ入り込み、庭の松の木の枝に額を思いっきりぶつけてしまったのです。
大変な出血でした。

騒ぎに気付いた民家の住人、おじいさんが出てきました。おじいさんはそこにいたわれわれ数人を叱りながらも、すぐにその子を近くの病院へ連れていってくれました。

額を数針縫うという大けがでした。
当然、学校へも連絡がいきます。翌日、最初の授業の時に担任の先生がその話をしました。
けがはともかく、民家に勝手に入って遊んだことを、ひどく叱られました。当然のことです。そのおじいさんはこれまで我慢していたけれど、ずっとわれわれの傍若無人ぶりには大迷惑していた、と聞きました。

ひどいことをして遊んでいたものです。今なら、へたしたら「警察沙汰」になったかもしれません。あのおじいさんは、けがした友達を病院へ連れて行ってくれたり、長いことがまんして目をつぶっていてくれたのですから、やさしく包容力のある人だったと思います。
「本当の大人」がいた時代、と言えるかもしれません。

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